シグナルの使用

このレッスンでは、シグナルを見ていきます。これらは、ボタンが押された、など特定のことが起こったときにノードが発信するメッセージです。他のノードはシグナルに接続し、イベントが発生したときに関数を呼び出すことができます。

シグナルはGodotに組み込まれた委任メカニズムで、あるゲームオブジェクトが別のゲームオブジェクトの変更に反応する際に、それらを相互参照させることなく反応できるようにするものです。シグナルを使うと、 結合度 を制限し、コードの柔軟性を保つことができます。

例えば、画面上にプレイヤーの体力を表すライフバーがあるとします。プレイヤーがダメージを受けたり、回復薬を使ったりした場合には、その変化をバーに反映されるようにしたいとします。これを実現するために、Godotではシグナルを使用します。

メソッド ( Callable ) と同様に、シグナルは Godot 4.0 以降の最重要な型です。つまり、文字列として渡す必要がなく、メソッドの引数として直接渡すことができるという意味であり、オートコンプリートの向上と、エラーの抑制につながります。 Signal 型で直接できることのリストについては、クラス リファレンス Signal を参照してください。

参考

概要で述べたように、シグナルはGodotバージョンのobserverパターンです。詳しくは 次を参照ください Game Programming Patterns

今度はシグナルを使って、前パート ( プレイヤーの入力に対応する ) で作ったGodotのアイコンがボタンを押すことで動いたり止まったりするようにします。

注釈

このプロジェクトでは、Godotの命名規則に従います。

  • GDScript: クラス(ノード)はPascalCaseを使用し、変数と関数はsnake_caseを使用し、定数はALL_CAPSを使用します(GDScriptスタイルガイドを参照)。

  • C#: クラス、export変数、メソッドはPascalCaseを使用し、プライベートフィールドは _camelCase を使用し、ローカル変数とパラメーターは camelCase を使用します(C# スタイルガイドを参照)。シグナルを接続するときは、メソッド名を正確に入力してください。

シーンの設定

ゲームにボタンを追加するために、 Button初めてのスクリプト作成 レッスンで作成した sprite_2d.tscn シーンの両方を含む新しいシーンを作成します。

メニューの「シーン -> 新規シーン」で、新しいシーンを作成します。

../../_images/signals_01_new_scene.webp

シーンドック内の2Dシーンボタンをクリックすることで、Node2D がルートとして追加されます。

../../_images/signals_02_2d_scene.webp

ファイルシステムドック内で、先に保存した sprite_2d.tscn ファイルをクリックして、Node2Dの上にドロップしインスタンス化します。

../../_images/signals_03_dragging_scene.png

もう一つ別のノードをSprite2Dと同レベルとして追加します。これをするには、Node2Dを右クリックし、「子ノードを追加」を選択します。

../../_images/signals_04_add_child_node.webp

Button ノードを検索して追加します。

../../_images/signals_05_add_button.webp

デフォルトではノードは小さく作成されます。ハンドルの右下をクリック&ドラッグし、サイズを変更します。

../../_images/signals_06_drag_button.png

ハンドルが表示されない場合は、ツールバー上で選択ツールが選択されていることを確認してください。

../../_images/signals_07_select_tool.webp

ボタンをクリック&ドラッグし、Spriteの近くへ動かします。

インスペクター上のTextプロパティでButtonにラベルをつけることができます。 Toggle motion と入力しましょう。

../../_images/signals_08_toggle_motion_text.webp

シーンツリーとビューポートは次のようになります。

../../_images/signals_09_scene_setup.png

新たに作成したシーンについて、もしまだであれば node_2d.tscn として保存しましょう。 F6 (macOSでは:kbd:Cmd + R)で実行できます。この時点では、ボタンは表示されますが、押しても何も起こりません。

エディタ内でシグナルを接続する

ここでは、Button の "pressed" シグナルを Sprite2D に接続し、その動きのオン・オフを切り替える新しい関数を呼び出しましょう。前のレッスンで行ったように、Sprite2Dノードにスクリプトをアタッチする必要があります。

ノードドック内でシグナルを接続することができます。Buttonノードを選択し、インスペクターの横にあるノードをクリックします。

../../_images/signals_10_node_dock.webp

選択したノードで利用可能なシグナルが表示されます。

../../_images/signals_11_pressed_signals.webp

"pressed"シグナルをダブルクリックし、ノード接続ウィンドウを開きます。

../../_images/signals_12_node_connection.webp

そこで、Sprite2Dノードにシグナルを接続できます。ノードはreceiverメソッドを必要とします。これは、Buttonがシグナルを発信したときにGodotが呼び出す関数です。エディタはこの関数を自動生成します。規約として、これらのコールバック関数は"_on_ノード名_シグナル名"と命名されます。ここでの場合は、"_on_button_pressed"となります。

注釈

ノードドックよりシグナルを接続する場合、簡易モードと高度な設定を利用できます。簡易モードではスクリプトが付随しているノードにのみ接続でき、そのノードに新しいコールバック関数を作成します。

../../_images/signals_advanced_connection_window.png

高度な設定("Advanced")では、任意のノードと任意のビルトイン関数に接続し、コールバックに引数を追加し、オプションを設定することができます。ウィンドウの下部にある高度な設定トグルスイッチをクリックすることで、モードを切り替えることができます。

注釈

外部エディター (VS Code など) を使用している場合、この自動コード生成は機能しない可能性があります。この場合、次のセクションで説明するように、コードを介して信号を接続する必要があります。

接続ボタン("Connect")をクリックすると、シグナルの接続が完了し、スクリプトのワークスペースにジャンプします。左側のマージンに接続アイコンのある新しいメソッドが表示されるはずです。

../../_images/signals_13_signals_connection_icon.webp

このアイコンをクリックすると、ウィンドウがポップアップし、接続に関する情報が表示されます。この機能は、エディターでノードを接続する場合のみ有効です。

../../_images/signals_14_signals_connection_info.webp

passキーワードの行を、ノードの動きを切り替えるコードに置き換えましょう。

Sprite2Dが動くのは、_process()関数内のコードのおかげです。Godot は処理のオンとオフを切り替えるメソッド : Node.set_process() を提供しています。Nodeクラスの別のメソッドである is_processing() は、アイドル処理が有効であれば trueを返します。notキーワードで値を反転できます。

func _on_button_pressed():
    set_process(not is_processing())

この関数はボタンを押したときに、処理を切り替え、アイコンの動作のON/OFFを切り替えます。

ゲームを試す前に、 _process()関数を単純化して、ユーザー入力を待たずにノードを自動的に移動させる必要があります。次のコードに置き換えます (これは 2 つ前のレッスンで見ています)。

func _process(delta):
    rotation += angular_speed * delta
    var velocity = Vector2.UP.rotated(rotation) * speed
    position += velocity * delta

完成した sprite_2d.gdコードは次のようになります。

extends Sprite2D

var speed = 400
var angular_speed = PI


func _process(delta):
    rotation += angular_speed * delta
    var velocity = Vector2.UP.rotated(rotation) * speed
    position += velocity * delta


func _on_button_pressed():
    set_process(not is_processing())

Run the current scene by pressing F6 (Cmd + R on macOS), and click the button to see the sprite start and stop.

コード経由でシグナルを接続する

エディタを使用する代わりに、コードを介してシグナルを接続することができます。これは、スクリプトの中でノードを作成したり、シーンをインスタンス化するときに必要です。

ここで、別のノードを使ってみましよう。Godot には Timer ノードがあり、スキルのクールダウン時間や武器のリロードなどを実装するのに便利です。

2Dワークスペースに戻りましょう。ウィンドウ上部の "2D" のテキストをクリックするか、 Ctrl + F1 (macOS では Ctrl + Cmd + 1) を押します。

シーンドックで、Sprite2D ノードを右クリックし、新しい子ノードを追加します。Timer を検索して、対応するノードを追加します。シーンは次のようになります。

../../_images/signals_15_scene_tree.png

Timerノードを選択した状態で、インスペクタに移動し、Autostartプロパティを有効化します。

../../_images/signals_18_timer_autostart.png

Sprite2Dの横にあるスクリプトアイコンをクリックして、スクリプトのワークスペースに戻ります。

../../_images/signals_16_click_script.png

ノードをコードで接続するには、2つの操作が必要です。

  1. Sprite2D から Timer への参照を取得します。

  2. Timer の"timeout"シグナルで、connect()メソッドを呼び出します。

注釈

コードでシグナルに接続するには、シグナルを受信したいノードのconnect()メソッドを呼び出す必要があります。この場合、Timer の"timeout"シグナルを受信します。

シーンがインスタンス化されたときにシグナルを接続したいのですが、それには Node._ready() ビルトイン関数を使用して接続できます。この関数はノードが完全にインスタンス化されるとエンジンから自動的に呼び出されます 。

現在のノードに関連するノードの参照を取得するには、 Node.get_node() というメソッドを使用します。この参照は変数に格納することができます。

func _ready():
    var timer = get_node("Timer")

関数 get_node()は Sprite2D の子を調べ、その名前によってノードを取得します。たとえば、エディタで Timer ノードの名前を "BlinkingTimer" に変更した場合、呼び出しをget_node("BlinkingTimer")に変更する必要があります。

これで、_ready()関数の中で Timer を Sprite2D に接続することができます。

func _ready():
    var timer = get_node("Timer")
    timer.timeout.connect(_on_timer_timeout)

この行は次のようになります。Timer の "timeout" シグナルを、スクリプトが接続されているノードに接続します。Timer が "timeout" を発信したら、関数 _on_timer_timeout() を呼び出したいので、これを定義する必要があります。スクリプトの下部にこの関数を追加し、それを使用してスプライトの表示を切り替えましょう。

注釈

規約では、このようなコールバックメソッドはGDScriptでは"_on_node_name_signal_name"と命名されて、C#では "OnNodeNameSignalName" と命名されます。ここでは、GDScriptだと "_on_timer_timeout"、C#では OnTimerTimeout() となります。

func _on_timer_timeout():
    visible = not visible

visibleのプロパティはブール値で、ノードの可視性を制御します。visible = not visibleの行で値を反転します。visibletrueなら、falseに、また逆の場合も同様です。

この2Dシーンを実行すると、スプライトが1秒間隔で点滅するのがわかるでしょう。

完全なスクリプト

これで、Godot アイコンが動いて点滅する、小さなデモを終了します!参考までに、以下がsprite_2d.gdの完全なファイルです。

extends Sprite2D

var speed = 400
var angular_speed = PI


func _ready():
    var timer = get_node("Timer")
    timer.timeout.connect(_on_timer_timeout)


func _process(delta):
    rotation += angular_speed * delta
    var velocity = Vector2.UP.rotated(rotation) * speed
    position += velocity * delta


func _on_button_pressed():
    set_process(not is_processing())


func _on_timer_timeout():
    visible = not visible

カスタムシグナル

注釈

このセクションは、独自のシグナルを定義して使用する方法についての参考であり、前のレッスンで作成したプロジェクトを使用するものではありません。

スクリプトでカスタムシグナルを定義することができます。例えば、プレイヤーの体力が0になったときにゲームオーバー画面を表示させたいとします。そのためには、体力が0になったときに、"died" (死亡)や "health_depleted"(体力の枯渇) という名前のシグナルを定義することができます。

extends Node2D

signal health_depleted

var health = 10

注釈

シグナルは発生したばかりのイベントを表現するため、通常、動作を表す過去形の動詞をシグナルの名前に使用します。

作成したシグナルは、組み込まれたシグナルと同じように動作します。シグナルはノード("Node")タブに表示され、他のシグナルと同様に接続することができます。

../../_images/signals_17_custom_signal.webp

スクリプト内でシグナルを発信するには、emit()を呼び出します。

func take_damage(amount):
    health -= amount
    if health <= 0:
        health_depleted.emit()

シグナルは、オプションで1つ以上の引数を宣言できます。カッコの中に引数の名前を指定します:

extends Node2D

signal health_changed(old_value, new_value)

var health = 10

注釈

シグナル引数はエディタのノードドックに表示され、Godotはそれらを使用してコールバック関数を生成できます。しかしながら、シグナルを発信するときに、任意の数の引数を発行できます。正しい値を出力するのはあなた次第です。

シグナルと一緒に値を出力するには、emit()関数に追加の引数として値を追加します。

func take_damage(amount):
    var old_health = health
    health -= amount
    health_changed.emit(old_health, health)

要約

Godot ではどのノードも、ボタンが押されるなど、何か特定のことが起こるとシグナルを発し ます。他のノードは個々のシグナルに接続し、選択されたイベントに反応することができます。

シグナルには多くの用途があります。これらを使用すると、ゲームワールドに出入りするノード、衝突、領域に出入りするキャラクター、サイズが変化するインターフェイスの要素など、多くのことに反応できます。

たとえば、コインの見た目をした Area2D は、プレイヤーの物理ボディが衝突形状(コリジョンシェイプ)に入るたびに body_enteredシグナルを発し、プレイヤーがそれを収集したタイミングを知ることができます。

次のセクション、 最初の2Dゲーム では、完全な2Dゲームを作成し、これまでに学んだことを実践します。